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クレアクト通信

IMUってなんぞ?(part14:誤差その1)

昼飯のあんぱんにさえ見放された鬼塚です。
何のことかは聞かないでください...

前回は怪奇現象の話でしたが、タネ明かしをしてみましょう。
実際にスマホのコンパスがグルグルと回っていることを体験した方は話が早いですが、
例えば、樹海に入るとコンパス(方位磁石)が狂ってクルクル回るという都市伝説を
どこかで聞いたことがあるかと思います。

私は樹海に足を踏み入れたことはないですが、いろいろと調べてみるとどうやら、実際にはコンパスが使えないというようなことは無いみたいです。
ただ、あの辺は磁鉄鉱とかいう、まさに磁石のような岩がたくさん転がっているので、岩や地面に近づけると狂ってしまい、噂が噂を呼んでいわくつきの場所になったのでしょう。

ということで、磁気を使用するコンパスは当然ながら磁界の乱れに弱いです。
わざわざ樹海に行かなくても、私達の身近なところに磁界を乱すものはたくさんあります。
例えば、建物の金属鉄骨や、道路を走る自動車、空を覆い尽くす高圧電線、金属製のロッカーや机、そして、あなたがこの文章を見ているスマホやPCなどの電子機器も磁界を乱す要因となります。
このように、目に見えなくても私達の周囲にはいろんな力が作用しており、ときにはセンサの値を狂わすこともあります。

では、ここでもう一度センサを使ってオイラー角を見てみましょう。

このグラフはセンサを適当に触って軽く姿勢を変化させたあと、すぐに机の上に置いています。
最初の方で、ロール、ピッチ、ヨーのライン(それぞれ赤、緑、青)が変化していますが、テーブルに置いた(静止させた)タイミングで、ロール、ピッチのラインが重なり合ってほぼ直線になっていることがお分かりかと思います。
画面上では上書きされてロールの赤ラインしか見えなくなっています。

対してヨー(青のライン)はどうでしょうか?
なんだか値がズリズリィーーーっと変化していますね。
もちろんこの間はテーブルに置いて全く触っていない状態です。
私がハンドパワーを使えるのであれば多少のちょっかいをかけることができますが、そんなことをしなくても値が変化しました。
この値を信じるならば、センサは勝手に回転していることになります。
この現象をサイコキネ...ではなく「ドリフト」といいます。

ドリフトという言葉はどこかで聞いたことがあるかとは思いますが、ここでの意味は峠とかのコーナーリングで勝負をかけるよーなテクニックではありません。ただ、ズリズリィーーーっと値がズレていくイメージとしてはだいたいあってると思います。

このように、センサの値を使って計算をしていく時にノイズなどによる誤差がどんどん積み重なってしまうので、このグラフのように少しずつ動いているような値になります。

私が今実験している環境は、金属製の机の上ですぐ近くにPCがあります。
さらに言ってしまえば建物の中なので、金属構造物にぐるっと取り囲まれたような状態です。
本来であれば、磁気センサは磁方位として北の方角を特定するのですが、ノイズまみれでよくわからなくなるとこのような状態になります。基準としては使えなくもないのですがかなり曖昧なものとなります。

というわけで、毎度長くなりましたがお伝えしたかったのは
「地磁気センサで方位を取るのは、じつはたいへん!」
ということです。

ちなみに角速度や加速度にもドリフトやらバイアスやら誤差はありますが、地磁気センサを使用したヨー角(方位)は特に顕著に現れます。
じゃあなんでそんなもん使って方位を取ろうとしてるんだ?!ってことになりますが、理由は簡単。それしか方法が無いからです。

さて、すでに時間がなくなりましたので適当にまとめましたが、おつぎはどいつです。お楽しみに!

LORD MicroStrainの3DMシリーズ

SBG SystemsのIMUシリーズ

IMUってなんぞ?のまとめ

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