北極海洋の波浪ブイの成功事例

2017年7月28日

SBG社のミニチュア慣性センサを内蔵した波浪ブイがボーフォート海に配置されました。外洋および氷中の波が氷板融解に与える影響を計測するためです。

  • 導入顧客: LOV/UPMC UMR7093 The Villefranche Oceanographic Laboratory
  • アプリケーション: 波浪ブイによる外洋と氷中の波の計測
  • 使用製品: IG-500A/Ellipse-A (ミニチュア姿勢方位基準装置(AHRS))
  • プロジェクト: 外洋と氷中波浪の計測

過去数十年にわたり北極は他の地域よりも温暖化し、海氷の量は著しく減少して来ました。増え続ける氷結しないエリアと流動する表層結氷の組み合わせは、ボーフォート海における季節的な氷縁海域(MIZ)の出現となりました。海軍研究事務所(ONR)MIZイニシアチブは、波浪ブイを含むいくつかの自律システムを使い、氷―海―空気の動力調査するための観察とシミュレーションを行う統合プログラムに乗り出しました。

~IG-500Aを使った波の特徴を把握~

このプログラムでは、外洋と氷中の波の特徴と変化を定量的に把握するため、25台の波浪ブイを使いました。夏に20台、冬に5台のブイを配置しました。「私たちは、海洋の波の方向スペクトルを計測するには、迅速かつコストパフォーマンスが良いソリューションを使う必要があった。配置時間が非常に短いので、デバイスから直接良好なヒーブの数値が得られる統合ソリューションである事は不可欠なポイントで、またユニットの納期も重要なポイントだった」とフランス・UPMC(the Université Pierre et Marie Curie)の海洋学者でこのリサーチプログラムの一員であるDr. Martin Dobleは述べています。
夏に配置されたブイは氷に穴をあけ配置しました。電源供給はソーラーパネルで行います。またこのブイには慣性モーションセンサIG-500Aが内蔵されています。遠くの波と近くの波が現地の氷盤へ与える影響を検知します。氷は融けてからも、夏のブイは継続的に外洋の特徴を計測しました。
冬の5台のブイは氷上に取り付けられました。より良い耐性と暗い冬の期間中でもブイを稼働させる十分な電力を積むため、これらのブイはアルミニウムで作られました。各ブイには、SDカード、GPS、それにケンブリッジ基地局からの要求に応じて記録データを送信するためのイリジウム衛星モデムとアンテナと、データ処理とコントロール用の電子装置が内蔵されました。夏のブイ(外洋の波)と冬のブイ(氷中の波)のデータはまた、波浪の希薄化率を定量化するためにも利用されました。

■氷縁海域(MIZ)プログラムについて

氷縁海域(MIZ)の新たなダイナミクスは海軍研究事務所が主導する部門調査です。この5年間プロジェクトの目標は、ボーフォート海/チュクチ海における夏季の氷端の後退と氷縁海域(MIZ)についての物理学的な知識と理解を向上させることにあります。


~温度キャリブレーションが役立つ時~

IG-500A慣性センサは波の高さと方向計測に使われました。IG-500Aは0.35°の精度でロール、ピッチ、ヘディングを精度10cm以内でヒーブをリアルタイムで計測します。すべてのセンサは-40°から+85°の環境でのバイアス、リニアリティ、ゲイン、ミスアラインメント、他軸感度とジャイロG誤差に関してキャリブレーションされています。
これにより過酷な環境でも信頼性があるデータを提供できます。北極圏の氷より過酷なところは他にあるでしょうか?


~次に来るのは?~

その科学者は「以前と同じように新しいEllipseユニットを使っているよ」と語りました。
IG-500は信頼性が高く、ITAR規制なし、省電力で、さらにヒーブ測定も実現しました。新シリーズがリリースされる前にはそれは計測ブイに理想的でした。このプロジェクトが行われている間に、IG-500シリーズの代わるEllipseシリーズがリリースされ、採用されました。同じ予算で、姿勢計測においてより高い精度と信頼性(IP68)を実現した新ミニチュア慣性センサは、高いパフォーマンスを実現するために波の周期に自動的に調節するヒーブを出力できるようになりました。Ellipse-Aセンサは現在ボーフォート海/チュクチ海での新しい海軍研究事務所の(ONR)プロジェクトで使用されています。

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